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TOP 14年度までの事業 14年度妙高四季彩芸術展
 


審査員講評

 絵画の部

福井 爽人(さわと)(東京芸術大学教授 日本美術院評議員)

 今年の出品作品の全体を見わたして感じたことは、レベルが大変高くなったことです。また、作品の傾向が片寄ることなく、個性的になったことを感じ、真に嬉しく思いました。
 黒岩さんの「想・妙高茅場」は実景に物語性を加味し、妙高の自然風景を深めております。中川さんの「山湖夕照」は移り変わる一瞬の光景を鮮やかにとらえております。浦部さんの「妙高讃歌」は真に個性のある構成と色彩 で丹念なタッチにより、自分の詩を歌い上げています。松木さんの「妙高晩秋」は寡黙で力強い大自然を誠実に描きあげています。圧倒的な山のボリュームを表現した鹿島さんの「待春」、写 実と装飾を見事に融合した竹田さんの「朝やけ」。また、受賞にはなりませんでしたが、ゆったりと自由さを楽しんだ画風の「水に映える妙高」の渡辺さん。逆光のグレーの雪が美しい長谷川さんの「新雪」。素朴な魅力を感じさせる岩島さんの「陽春の妙高」等々、いろいろと目につきました。

長谷部 昇(自由美術協会会員)

 審査が終了してから、受賞者の氏名とそれぞれの住所を聞かせてもらいました。その結果 、県外の方の受賞が、私の予想していた以上に多くありました。
 それは、この展覧会のねらいと合致していると思います。即ち、沢山の人々のさまざまな見方、捉え方をこの会場に来られた方が直接に目の当たりにできる貴重な場面 であることこそ重要な意義を持っていると考えるからです。
 大賞の作品は油絵の具でなければ表現できない重厚さを感じることができました。優秀賞の二点は足元にある小さな花を見るやさしさ、あるいは昔から伝わる人々の暮らしの中の物語の深さをそれぞれ今日の私達に示し、改めて何かを問いかけていると思われました。
 最後に、奨励賞の「春響」に私は特に注目しました。妙高山を背景にした若い演奏者達。作者は、さまざまな思いを込めながら、次代を受け継ぐ若者達への期待と温かな声援を描きたかったのだと思いました。

村山 孝夫(日本美術家連盟会員、三軌会会員)

 妙高四季彩芸術展の審査会に今回初めて参加したが、出品作品全部を拝見してその力作ぶりには驚かされた。かなり水準の高い内容の展覧会になったと思われる。
 一作ごとに拝見すると、作者の風景に対する想いが伝わってくる。慈しみの目で観察していることも判る。どれに賞がついてもいいようなそれぞれの良さが見てとれた。
 作画過程での創作の喜びは、結果に附け足された賞よりも価値がある。
 展覧会では、賞を決めなければいけないので、一応苦労しながら決定した。
 風土を愛し、絵に描きとどめる作業を暮らしの一部として大切に守り続けることを切望すると同時に、皆様方の今後の精進を祈ります。

萩尾 紅子(パステル画家)

 第三回を迎えた、妙高四季彩芸術展。妙高山だけでなく、広く新井頸南地域の魅力を再発見しようという呼びかけに応えて、今年も全国から数多くの力作が集まりました。皆様の作品のレベルが高いため、賞を選ぶのはとても難しいものでした。したがって、惜しくも選外となってしまったもののなかにも、技術的なレベルも高く絵画的にも優れた作品がたくさんあります。
 今回の大賞、「暮れゆく」は、なにげない風景の中に深い味わいのある作品でした。また、水墨の調子で描かれた黒岩さんの「想・妙高茅場」は、テーマとなった視点のユニークさと、自然に対する愛情の感じられる作品です。引場さんの「春響」は、ラッパを吹く子ども達の表情に、長い長い冬が終わり、待ちわびていた春の喜びがあふれていて、とても好感のもてる作品だと思いました。
 山の色、空気のタッチに、この地域のすばらしさを描き込まれた皆様の愛情が感じられる、見応えのある展覧会になりました。

 写 真の部

▼ 森本 二太郎(にたろう)(日本写 真家協会会員)

 並べられた出品作品を総覧した第一印象は、色の扱いや画面構成などが、昨年に比べてかなりしっかりしているということでした。
 一方で、作品一点一点から伝わってくる印象が、おとなしく感じられることも確かです。
 写真が上手になるということと、感動やメッセージが伝わるということがなかなか一つになりきれない写 真の難しさを感じます。
 その中で、上位入賞作品は画面作りの確かさと、メッセージを伝える力がひときわ印象的です。写 真は、「構図」「露出」「ピント」など技術的な要素も大切ですが、やはり他の表現と違って、「瞬間」を読みとって反応する感応力が極めて重要です。特に、スナップ写 真ではその比重がことさらに大きくなります。
 今年の大賞は、その場を瞬時に読みとって、見る側にまっすぐエッセンスが伝わる表現力が生きています。こうした素直な人間味が、何のてらいも細工もなく表されるところに、生活のスナップの楽しさがあります。
 できたら、自然の写真の分野でも是非、生き生きとした「いのち」の躍動や輝き、しみじみとした、あるいはほのぼのとした情感がにじみ出てくるような作品を見せていただきたいと願っています。

山田 昌男(日本写真家協会会員)

 平成十四年度の出品点数120点どの作品からも作者の真剣さが伝わってきます。そして、昨年より力作が多く出品されている印象を受けました。
 その中において、四季彩大賞の「うぁーすごい」の作品は、大変表現力に優れています。シャッターチャンスを見逃さない、被写 体を観察する写真の基本がしっかりと出来ている力作です。
 優秀賞「落葉のベンチ」。写真は光りといいますが、作者の光を見る、確かな技術を評価しました。
 優秀賞「お昼寝」。この作品を見て構図の旨さに感心しました。説明的写 真になりやすい被写体を、的確に表現しています。
 奨励賞、秀作賞、佳作賞にも良い作品はいくつも有り、選考に迷ったのも有りました。表現力と、主被写 体にもっと力があればと惜しまれます。 

橋本 浩市(新潟県展委員)

 出品者数と出品点数が増えてくると同時に、作品内容が良くなってきています。その中で、人物スナップが少なかったのですが、「妙高四季彩 」ということで、妙高山を含む風景にこだわっているように感じています。その為に、人物スナップが少なかったのでしょうか。また、花の写 真や小動物の写真も少なく残念です。
 妙高山を主にした作品が多く、きれいには写っているのですが、きれいというだけでは、写 真の中に個性を見出すことが出来なかったが、その中でも、今回入賞したすべての作品は撮影者の個性が出ていると思います。
 特に、人物スナップが、少ない中においても、昨年に続いて四季彩 大賞に選ばれました。大賞の作品を見ていると、思わず笑ってしまうユーモアのある作品で、ロバの切り取り方や子どもの表情、また、光が原高原の情景描写 等、申し分なく良い作品でした。
 奨励賞以上の作品は、紙一重ですが、特に、「雨の日」は、わずかの差で優秀賞を逃がしていました。
 来年に向けて撮影者の個性が前面に出るような作品を期待します。特に、妙高山を主題とした風景にこだわることなく、花やチョウやトンボ、人物スナップ等に、挑戦して応募して下さい。

 

 

 

 
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