エコミュージアムとは、1960年代後半にフランスの博物館学者アンリ・リビエールが構想した博物館の新しい概念で、地方の民族文化の見直しや地方分権の政策と関連しながらフランス各地に広がっていきました。
地域特有の自然、文化、歴史の保護育成、継承を、その担い手である地域住民の生活と「共棲」させることがテーマになっています。
80年代からヨーロッパ中心に広まり始め、特にフランスやドイツにその先進事例が見られます。その企画運営には、地理的、歴史的、文化的に密接な地域が共同で圏域をつくっています。
エコミュージアムの「エコ」とは、第一に「エコロジー(生態学)」の「エコ」であり、地域の自然を保護、育成していくことと、先祖達が作り上げた歴史、文化を護り、それを継承していくことを指します。第2に、「地域住民の生活との共棲」を実現させるため、そのエコロジー活動を「地域経済の活性化」と結びつけようとする「エコノミカル」の「エコ」でもあります。
このように自然や遺跡だけではなく、住民生活に根ざした文化なども含め、訪れる人々に体験してもらおうという取り組みは「自然博物園」とも訳されています。